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グラスにこだわって日本酒を飲むということ

昨年末の引越祝いで、弟夫婦が日本酒のグラスをプレゼントしてくれた。
何とも嬉しい、それもストレートど真ん中のプレゼントである。
その名も「大吟醸」
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何とも手に馴染む、いい大きさ。

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このグラスで飲むのは、東北泉の大吟醸斗瓶囲い、通称「じんとび」が出たらと思っていたが、それを待てず(笑)。実家の使いで宮町の阿部八酒店に行った際、これならば「グラスおろし」も許されるだろうと、三重の「而今(じこん)」を入手。
ご存知の方も多いと思うが、この酒は華やかながら、近畿の酒らしい重厚さも併せ持つ、今、人気急上昇中で、品薄の銘柄である。
写真右から「大吟醸」、トルコのチャイグラス(我が家では日本酒グラス化している)、口触りの良いお猪口、少し長めの利き猪口、多目的グラス。
念のため、少し酒のデータを。
右は「千本錦(米の名前)」の純米吟醸。55%精米、アルコール16.5%、酸度1.6、1600円、以下省略w。
左は「五百万石(米の名前)」の特別純米。60%精米、アルコール17%、酸度1.7、1300円、以下省略w。
日本酒度はどちらも±0(数値上はそれほど甘くも辛くもないということ)、そして無濾過(※)の生だ。
※活性炭などで濾過をすると、いわゆる「スッキリ」系になる(が、ちょっと線が細く)。濾過しないと、下手すると雑味の多い「大味」な酒になりかねないが、味のしっかりした酒にすることが出来る。この酒はその濾過をしていない。


さて、飲み比べ。
この先を読んで頂くまでもなく、「違い」があることは容易に想像出来る。
肝心なのは、どう違うかだ。

リポートは3点
香り、味、そしてグラスアロマ(!)

まず、いちばん気になっていた香り。
多目的グラスの香りは、初めだけだった(以下、略)。
小さい猪口系は、それ程差が出ず。というより、いつも通り「直接」吟醸香を感じる、そんな感じ。
そして「大吟醸」。

驚く。

なんと「酒蔵」の香りがする。

日本酒の蔵見学に行った事のある方ならすぐ分かって頂ける、あの「蔵」に入った瞬間の、日本酒に包まれるあの幸せな香り。
特定の何という酒、ではなく、蔵全体から香るにおい。
俺は、蔵以外でこの香りを感じたのは始めてだ。
これは正に初体験!
早くも、グラスの影響大!!

次に味。
香りは見た目にも器の違いがありそな気がする。
さてその味の方なのだが、何と、器の高さが低いものほど酸味を感じ、高いものほど、その酸味が柔らかくなる。「大吟醸」に至っては、香りと味のバランスが非常に良くなる。
それで、酸味が少なく感じるのかも知れない。
空気に触れる時間、面積なのか、思い込みなのかは確定はできないが、俺はそう感じた。

そして、日本酒の世界で殆ど聞く事がない「グラスアロマ」。
「グラスアロマ」とは、ウィスキーなどを飲み終わったグラスを少し置いておいた時に、そのグラスに残る香りのこと。飲んでいるときには感じられなかった香りが出てきたりするため、ウィスキー飲みとすれば、欠かせない通過儀礼である。
ところで日本酒。
まず、恥ずかしながら、日本酒のグラスアロマ(お猪口あろまw)なんてものを、考えた事も無かった。
お猪口の香りをつかむ前に次の酒を注いでるからね(笑)。
が、こういうグラスを手にすれば、当然、日本酒のグラスアロマを試してみたくなる訳だ。

予想通り、小さい器のグラスアロマは微か。
しかし「大吟醸」はその香りがしっかりある。
その大きさ、形状が遺憾なく力を発揮している。

こういう飲み方が日本酒飲みに増えれば、作り手側も、その香りも意識するようになるかもしれない。
もしかすると、グラスのポテンシャルが、酒の作り方までに影響を与える、そんな時がくる可能性を強く感じた。

もうひとつ、ワインとの比較を。
今、オーストラリアでも日本酒ブームになっているという報道を最近見た。
俺がワインを覚えるとき、日本酒の延長として入って行ったのだけど、
逆のことをやっている人が相当数居るんじゃないかと俺は予想している。
つまり、ワインの延長で日本酒を楽しんで、試して見ている、ということ。

これは、酒飲みの「勘」。

報道ではオーストラリアの皆さんも「お猪口」で飲んでいらした。
勿論それ自体は、文化そのものを呑むということで、嬉しい限り。
だが、この「大吟醸」を知ったとき、
日本酒のポテンシャルを最大限に(特に香りを高め)味わう方法があるのなら、このアプローチで日本酒をワイン文化圏の皆さんに紹介していくのも大きな道、もっといえば「近道」になるかも知れないと思った。


グラスにこだわって日本酒を飲むということ。


これは単に「多く香りを楽しめる」というレベルに留まらず、
酒造り、そして、日本酒を世界に広めるきっかけになる可能性まで視野が広がるのではないか


そんなことを考えるきっかけをくれた弟夫婦に改めて感謝!


しかし、いろいろ試すと酒量が増え気味になる(笑)。
が、これまた酒飲みの楽しみでもある。

いずれ、東北泉の大吟醸で試してみようと思う。
Commented by yfh_731 at 2011-02-21 09:29
ゲルマンと日本の両職人魂の融合ですね。
Commented by asunaro151 at 2011-02-21 21:14
>731さま
一流の仕事が一流の仕事を生む。
しびれますねー!
有難うございます!
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by asunaro151 | 2011-02-20 02:45 | 酒のはなし | Comments(2)